満足度:90点
【ネタバレ危険】タイムパラドックスはこだわらずに見るべし
(未視聴の方は・・スクロールされぬようご注意ください)
※ターミネーター1のネタバレもしてますのでご注意ください
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【目次】
Chapter1 一見素通りしそうな奇妙な雲は・・伏線?
Chapter2 何層にも重ねられたループする世界
Chapter3 殺し屋の30年契約ルール
Chapter4 "もうひとつの世界"を予感させるシーン
Chapter5 手足がもぎ取られる残虐シーンの意味
Chapter6 そもそも、タイムパラドックスの矛盾って何?
Chapter7 オールドジョーの復讐劇
Chapter8 レインメーカーがすべてのループを閉じようとしていた?!
Chapter9 オマージュが予見させるこの世界の行方・・
Chapter1
一見素通りしそうな奇妙な雲は・・伏線?
ヤングジョーがオールドジョーに遭ったとき
サトウキビ畑の空には
なんだか変な形をした
"歪んだ雲" が浮かんでいる
ふ、と思う。
何か奇妙な違和感というか
不調和音のような違和感が脳裏にすっとよぎったような・・
(どこかサブリミナル的で意味深な描写ですね)
でも、状況は切迫していてそれどころではないから
そのシーンをすっと通り過ぎる。。
サトウキビ畑のまるで時間が止まったかのようなあのシーンは
タイムマシーンが実は時空を歪めているのではないか?
といった不気味な静けさが漂っていた・・
Chapter2
何層にも重ねられたループする世界
この世界はタイムリープを繰り返すと
「何層」にも世界が重ねられていきます
なのでこの物語は
【3層】に重ねられているお話 といっていいかと思います
【1周目】
・ジョーは殺し屋にはならず亡くなる
(まだ殺し屋制度は誕生していない)
・タイムマシーンが発明される
(←
タイムマシーンで層が重ねられていく)
・2074年には
「殺し屋組織」が誕生
(レインメーカーは過去を取り仕切るボスの
"エイブ" を過去に送り込む)
【2周目】
エイブが送り込まれたため、新たなる2周目世界に突入です
・ジョーはエイブにみそめられ組織に入門する
・
2周目でジョーのループは閉じられます
・ジョーは中国美女と結婚するも妻が殺され・・復讐を決意
(その頃・・レインメーカーがすべてのループを閉じるという
とんでもない噂が出回っていた・・)
・ジョーは過去のレインメーカーを復讐するためにタイムマシーンに乗る!
【3周目】
ジョーがタイムマシーンに乗ってしまうので、ここから3周目に突入です
・ヤングジョーがループを閉じようとすると・・オールドジョーが脱走!してしまう
・ヤングジョーは幼少時代のレインメーカーとその母サラに出会う
・よって、ヤングジョーは
3周目でループを閉じず 自害してしまう
※分かりやすく説明するために
「3周」と説明しましたが
厳密には他の場所でタイムリープやパラドックスが起こるたびに
この世界は何層にも重ねられてていってしまうはずなのです・・
なので3周というのは厳密には正確ではありません。。
(例えば自害もひとつのパラドックスをひきおこします)
Chapter3
殺し屋の30年契約ルール
殺し屋の契約は30年
30年後の未来の自分が過去に送り込まれ
自分自身で
"未来からやってきた自分を始末する" のが掟である
(これをLOOPERの世界では『ループを閉じる』といいます)
けれど・・なぜ殺し屋は30年しか生きられないのか?
30年後の自分を自分自身で始末しなきゃいけないのか?!
と一見不思議な感じもしますが
30年後の2074年に殺しのシステムが開始され
30年前の2044年の生きてる奴らを殺し屋として雇ってるわけで
殺し屋を取り仕切る闇のボスにとっても
2074年以降に殺し屋が生き残るのは都合が悪く
ボスとしてもできれば始末しておきたいという理由もあるのかもしれません
でも2074年の時代には
ナノマシーンがすべての人に埋め込まれているため
殺人ができなくなっているのです・・
だから期限切れの殺し屋たちを次から次へと
2044年の過去に送り込み
ヤングにオールドを始末させ(ループを閉じさせている)というわけです
彼らは殺し屋の契約を交わす時に
契約は30年で
・これから30年しか生きられないこと
・そして若い自分が 未来の自分を殺すこと
「それさえ飲んでくれれば延べ棒をザクザクやるからなっ」
といって契約を交わしている
"ループを閉じる"←コレが鉄則です
ジョーも「前向きな奴には向かない仕事だ」と言っていますね
なので次々に送り込まれてくる標的は
口が塞がれ 頭には布がかぶせられている
送られてくる標的が誰なのかは分からずに射殺する
そして自分がいつ送り込まれてくるかも分からない
射殺して背中を開けて
"金塊" がでてきたら「自分」であることが分かり
そこで
「ループが閉じて」完了です
ループが閉じたら金塊8個を受け取って契約終了
祝杯パーティーがはじまります
Chapter4
"もうひとつの世界"を予感させるシーン
幾重にもタイムリープをくり返し
何層にも重なったかのような世界を予感させるシーンがある
・タバコを吸うフリをするサラと
・吸っているサラ
・ジョーが金庫の銀塊に触れてひとさし指から血が出る
・ジョーの部屋の銀塊の上に置かれた吸いかけのタバコ
あれ?時空が変わったのかな?と脳裏をかすめるものの
ちゃんと 時系列 に展開している
とはいえなんとなく「ふわり」と時空が変わったかのような違和感さえ覚えるのだ
サラに岩塩をぶっ放された時
画面が変わりオールドジョーが 右胸の傷跡 をみる
仮にもしこれが本物の弾だったらオールドジョーの目の前の世界が
異世界になっていたのかもしれないのだ
ヤングジョーがいうように
ヤングジョーが香港妻の写真を見た瞬間 に
目の前の世界が一瞬で変わってしまうのかもしれない
この世界はタイムリープによって
刻々と変化する不思議な世界なのだ
Chapter5
手足がもぎ取られる残虐シーンの意味
契約を破り脱走してしまったら
大変なことになります なぜなら・・
オールド側は殺され ヤング側は手足をもぎ取られます。。
そして・・医療機器につながれて生存させられるのだ
30年間そのまま生かされてから
過去にタイムマシーンで戻され処刑(ループを閉じる)のだろう
ジョーの親友ヤングセスがジョーに助けを求めた際には
「悪夢だ・・」といってなんだかやたらに怯えている
オールドセスが次々に指やら足やらもがれていく
指定された場所に行くとそこには・・
医療器具につながれ無残な姿 になっているヤングセスがいた・・
これは
"タイムパラドックスを考慮した処置" なのだろう
若いほうが自害してしまうと30年後の自分も消えてしまうため
タイムパラドックスが起こってしまうからだ 例えば・・ ヤングジョーがラストで自害するが
すると、未来のオールドジョーもいないことになってしまい・・
ということは、未来からオールドジョーはやって来ないわけで・・
ヤングジョーがサラやシドにも会わなかったことになってしまうわけで・・
なので厳密にいえばヤングジョーが自害した瞬間に世界が一変するはずなのです
(物語ではそのようには描かれていませんが素直にスルーしましょう
エンタメですからw)
タイムパラドックスは実にややこしい・・
そもそもツジツマは合っていませんので
(そもそも合わせるのは無理)なのです^^;
Chapter6
そもそも、タイムパラドックスの矛盾って何?
というわけで、タイムパラドックスは実に複雑難解ですね
タイムパラドックスとは・・
タイムリーリープしてツジツマがあわなくなる
「矛盾」のこと
厳密にはこの手の物語で整合性をとるのは不可能かもしれません・・
細かなことを気にしはじめたらキリがないですし
なのでツジツマがあわない部分をあまり気にせずに
これはシナリオ通りに素直にみる物語といえるのではないでしょうか
オールドジョーが
"パラドックスの話はめんどくせーから割愛なっ"
みたいなこといっていますが
(台詞では「どーでもいい」って言ってキレてますけどw)
ある意味笑いでふっとすようなこの台詞でもって
整合性がないことを前もって
”エクスキューズ” してるというわけですが
オールドジョーにとってはこれは「3周目の世界」なので
オールドジョーは
例えばヤングジョーが2週目の世界とは違う行動にでると
「記憶がぼやけたように」変わりだす
といったような趣旨を語っていますね
Chapter7
オールドジョーの復讐劇
オールドジョーは中国人の最愛の妻を殺され
レインメーカーの復讐を企てます
が、未来の世界ではすべての人の体中にナノマシーンが埋め込まれ
殺人をするとすぐに分かってしまうシステムなので
殺人は一切できない
なのでオールドジョーは未来では復讐できず
タイムマシーンに乗って
過去のレインメーカー(つまり5歳のシドを殺しに行く)
というストーリーなわけですが
ちなみにこの映画は中国資本で予算がとれた関係で
オールドジョーのヒロインが中国人に変更されたようですね
当初は舞台をフランスにする予定だったらしい?のですが(たぶん
なのでジョーのファーストシーンにみられるように
ヤングジョーは冒頭から
フランス語会話を練習 しています
ちなみに中国人の妻は射殺されてしまう話なので
それだとおかしな話になってしまいますね・・
(だって30年後の未来では殺人はできないはずなのです)
よくよく考えると
矛盾しているわけです が・・
製作者側からの説明は
「意図せぬ事故扱い」とされているらしいです。。
特筆したいのは
オールドジョーがレインメーカーを殺しにゆく理由は
妻の復讐だけの目的ではなかった(のではないか)ということ
「レインメーカーがすべでのループを閉じようとしている」
このとんでもない噂が飛び回っていることも
レインメーカーを消さねばならぬ要因のひとつであったはずなのです
これは脱走したオールドセスも語っています
Chapter8
レインメーカーがすべてのループを閉じようとしていた?!
オールドセスも オールドジョーも
「すべてのループが閉じられようとしてる!」
となんだかやたらに必死に語っていますが
けれどそもそも自分のループって自分で閉じるのが約束なのだから
ほっといても全部閉じられるんじゃね?とも思ってしまう
もしかしたらこれは何重にも重ねられた世界で
善のレインメーカーがいる世界も存在していて・・
「まさか善のレインメーカーがループを止めようとしてるのか?!」
なーんて勝手な想像もしてしまったりもしますが
だってレインメーカーって誰も見たことのない
"謎の人" って設定だったような・・
仮にもし「善に生まれまわったレインメーカー」が未来にいたとして
"殺し屋制度" そのものを失くすために
彼が「すべてのループを閉じ始めている」のだとしたら?!
(・・そーんな想像も思わずしてみたくなってしまうような、なんとも不思議なお話です)
ちなみに監督いわく
レインメーカーがループを閉じようとしていた理由は
母サラがルーパーによって殺されたことを知ってしまったためだったとか
Chapter9
オマージュが予見させるこの世界の行方・・
この映画はどうみてもあの名作
「ターミネーター」をリスペクトしたオマージュ作品であることは
おそらく、まちがいないでしょう
・未来からワープ してきた男が
・「伝説の人物」を殺すために
・該当の 対象者3人 を次々に殺してゆく
過去に到着してすぐさま服や銃などを奪って行くシーンは
ターミネーターさながらです
・・ということは?!
あのベットシーンで 男の子を妊娠?!
なんてことを想像してしまうのは決して私だけではないはず・・
ターミネーターをご覧である方なら
これが意外なほど「ベタ」な想像」であることはお察しいただけると思います
シドが「悪の帝王」になる道筋を避けられなかったとしても
であればむしろ・・
もしかしたらサラが身ごもった 子供=ジョーの子供 が
「善の救世主」として
未来で世界を変えようとしていくのかも?しれません
実情は誰にもわかりません・・
タイムリープとタイムパラドックスが幾重にも重なってゆく・・
そんな奇妙で不可解な物語なだけに、様々な想像が膨らむ作品です
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